風の音色
「ちょ、それってどーゆうことだよ!?」
「悪いけど、まだ方法が見つかって無いんだ」
「俺達がこっちに来た時みたいに歪を作ればいいだろ!!?」

陸斗が言いたいことは分かる
確かに、来た時と同じようにすれば帰ることが出来ると考えるのは当然なのだ
海斗も特に口を挟まず聞いている

「もし、君たちが来た時同様に歪を作ったとしよう
オレの世界は問題無い
何故なら他の人を巻き込まずに歪を作れる場所はいくらでもあるから…
しかし、兄貴の世界…君たちがいた世界はそうじゃない
他の人を巻き込まないような場所は何処にある?」

時空の管理人に聞かれ2人は一瞬止まる

「…えっと…マンションの一室とか?」

陸斗の答えに、時空の管理人はため息をつく

「そんな狭いところじゃ歪を作れないよ」

陸斗はガックリとうな垂れる

「…なるほど、そうなると僕らが帰るために作られる出口は
山の山頂や、森の奥深く…になるってわけだね」

海斗の言葉に同意するように、時空の管理人は頷く

「そう、例え帰せたとしても
命の保証ができない場所になる
それでも、良いの?」

時空の管理人の言葉にゴクリと唾を飲む陸斗
帰れても出たその場で死んでしまうようなことはご免こうむりたい

「だから、しばらくはこっちにいてもらうよ」

2人は頷く以外に返答は無かった
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