風の音色

崩れる瞬間

「陸斗!」
「海斗!!!」

刺激が自分たちに関係無いと決めつけて歩いてた
まさか、こんなことになるなんて…きっと誰も予想出来なかっただろう

―数分前―

2人はいつも曲がる角までやってきた
カーブミラーで車や自転車が来てないことを確認して曲がる
再びまっすぐな道を歩いていく

「あ~あ、マジで面白い世界ねぇ~かなぁ~」
「まだ言ってんの?あったとしても、どうやって行くのさ?」
「う~…その辺は海斗が考えてくれよ」
「そんなの、僕でも分かるわけ無いでしょ
空間や時空引き裂く物があればできるんじゃないの?」
「面倒だから、適当に言っただろ?
空間や時空引き裂く物なんて、俺でも発想できるっつーの」

先程の会話を続けながら歩いていた

ピシッ

微かな音が響いたが、2人は気づかない

ピシッ

先程より大きな音に、2人は立ち止まる

「何か音しなかったか?」
「したと思うよ」

2人は振り返るが何もない

「気のせいか?」
「それか、その辺の電線の音じゃないの?」
「ふ~ん」

2人は前を向いて歩きだした
もちろん学校に向かって
トコトコ歩いている2人
しかし、海斗が立ち止まる
それに続いて陸斗が立ち止まる

「どうしたんだよ?海斗」

陸斗は後ろを振り返り声をかける

「おかしい…」
「何が?」

俯き加減の海斗の表情は読み取れない

「ここの道…こんなに長くなかっ…」

視線を上げる海斗
その目に映ったものに、言葉無くす

「海斗、どうしたんだよ?」

陸斗は海斗に尋ねる
だが、海斗は自身がそのことを理解出来ず、固まっている
その視線の先が知りたくて、陸斗は再び前を見る

「っ!?」

陸斗も思わず固まってしまう
2人の目に映っているのは、大きな穴
空間をまるで切り取ったみたいに丸に近い穴が開いていた
2人は本能的に危険を感じ取り、反対方向に逃げる
しかし、強い風によって穴に引き戻される…
いや、吸い込まれていく

「陸斗!」
「海斗!!!」

お互いに手を伸ばし、何とか手を掴んだ
その直後、意識が無くなった
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