風の音色
草原から歩いて3日ほど経った頃

「はぁ~…初めは野宿もワクワクしたけど…
今日はどっかに泊まりてぇ~」

陸斗はガックリうな垂れながら歩く
今日まで、野宿で暮らしてきたのだ

「陸斗、しっかりしなよ
ほら、あそこ街みたいだし」

海斗が指差す先
そこには、壁のような物が見える

「マジか!!!
よっしゃ!今日はあの街で寝るぞ!!」

気合いが入った陸斗は走り出す

「…早めに言うんじゃなかったかな…?
あれ、多分かなり向こうだと思うんだけど…」

走る陸斗を見ながら、海斗はボソリと言う
勿論陸斗に聞こえるはずは無かった

―夜―

「だぁぁ!!何で今日も野宿なんだよ!!」
「仕方ないでしょ、今日中に着かなかったんだから」

近くの川で獲った魚を焼きながら、海斗が言う

「だって、海斗が街が見えたって!」
「見えたとは言ったけど、今日中に着くとは言って無い」

スパンと言われた一言に、陸斗は「うっ」と下を向く

「あの壁…かなり高いんだと思う
ココからだと…明日か明後日には着くと思うけど」
「えぇ!!!
マジかよ~~」

かなりショックを受けたのだろう
陸斗はゴロンと横になる

「ほら、ご飯食べて寝るよ
じゃないと、明日中に着かなくなる」

海斗にそう言われ、陸斗は飛び起き、魚を頬張る

「とにかく、今日はここで体を休めないと」
「分かったよ」

海斗がフッと火を消し2人は眠りについた

―翌日―

「ふぁ~…よく寝た」

先に起きたのは、やはり海斗

「さて、やっぱ魚かなぁ~」

まだ寝ている陸斗を置いて、魚を獲りに行く海斗
腰に揺れている双剣の柄尻についている円に指をかけ、スッと取り出す

「さ~て…と」

円の中に指を入れ、双剣をクルクル回す

「あの辺りかなぁ…」

回すのをやめ、右手の剣を持ち直し、スッと投げる
そのすぐ後、左手の剣も持ち直し投げる

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