風の音色
「何なんだよ?何か一言くらい返してくれたった良いじゃんか」
「異教徒…」
「は?」
「呪われし者…」
「…」

街人と思われる人から、微かに発せられた言葉がソレだった

「神は、全く同じ人間など…作らぬ!」

一番後ろにいる真っ黒な布で全てを覆う人物がそう言う
一番後ろにいるにも関わらず、しっかり見えるのは、何か台にでも乗っているのだろう

(…ん?)
「は?意味わかんねぇーよ」
「異教徒の言葉など聴く必要無し!
滅せよ!!」
「「!!?」」

黒い人がそう言うと、街人が一斉に2人に飛びかかる

「な!?何なんだよ!?」
「僕が知るわけないでしょ!
死にたくなかったら、逃げるしかない!」

人の塊から抜け出し、街の中へ逃げる2人

「呪われし者はあっちだ!追え!!」
「気付かれた…早く行くよ」

走る2人の後ろを、大勢の街人が追いかけてくる

「な、何でこうなんだよ~~!
俺はただ、宿で寝たいだけなのに!!!」
「叫んでると体力消費するよ」
「くそー!!!」
「はぁ…」

パンッ!!

「「!!?」」

2人の間に通った物と、音に2人は振り返る

「海斗…俺の見間違いか?
銃持ってるように見えんだけど?」
「陸斗…気のせいじゃないよ
持ってる…そして撃ってきた」
「んな!?当たったら死ぬぞ!早く逃げるぞ!!」

少し止めていた足を、再び動かす

パンッパンパンッ!!
ピッ!

「クッ!」
「陸斗!」

出鱈目に撃たれていた弾が、陸斗の足をかすめた

「大丈夫?」
「あぁ…平気だ!!」

気合いで立ち上がり、再び走り出す

パンパンパンッ!!
ドサッ!

大量に撃ってくるが、一向に当たらない
2人にとっては、良いことであった
しかし、誰かに当たり倒れる音が陸斗の右側から聞こえた

< 23 / 29 >

この作品をシェア

pagetop