風の音色
「ホントに分からねぇの!?」

何とも形容しがたい顔になっている陸斗
一方の海斗は、今さらなので表情は変わらない
元からあまり表情に出にくいが…

「あぁ~~!どーすんだよ~~」

海斗の無言を肯定にとり、慌てだす陸斗
誰だってそんな反応になるだろう

バコッ!

「いってー!!!」

陸斗は痛みのあまり、頭を抱えて座り込む
叩いた主。海斗はカバンを持って立っていた

「いつまでもグダグダ言ってたって仕方ないでしょ
とりあえず、この森から出ないと…」

そう言うとスタスタと歩いて行く

「ちょ…おい、待てよ!」

陸斗は慌ててカバンをひっ掴むと、海斗の後を追う

「早く森から出て電話しないと」

急ぎ足で進む海斗…の後に続く陸斗

「「あ…」」

出口らしき光が見えた
2人は急いでそこに向かう

「「え゛?」」

目の前に広がる光景に、目が点になる2人

「ここ何処?」

目の前に広がるのは、ひたすら草原だった
そして、その草原を周りから囲うように山がある
スーッと通りすぎる風が、草原の草を揺らした

「…とにかく、携帯で電話を…」

海斗は素早く携帯を取り出す
一方、陸斗は呆然と立ち尽くしている

「え…ココも圏外…」
「え!!?」

陸斗の意識は海斗の一言で呼び戻され、海斗の携帯をのぞきこむ

「マジで?」
「うん、圏外ってなってる」

海斗の携帯には圏外の2文字

「お、俺のも見てみる!」

ゴソゴソとカバンを漁り、携帯を取り出す
そして、パカッと開く

「・・・」

陸斗は無言になる
結果は見えているが、一応のぞきこんでみる海斗

「やっぱり圏外だね」

海斗の一言にショックを受け、ズーンとした雰囲気を出す陸斗

「それより、ココって何処なんだろう…」

落ち込む陸斗を気にせず、考え込む海斗だった
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