風の音色
「お前ら、そこで何突っ立ってるんだ?」
「「!!!?」」

海斗と陸斗は、背後から聞こえた声に驚き
勢いよく振り向く
そこには、軽い装備の青年が一人立っていた

「別に突っ立ってなんか!」
「そうだな、お前はしゃがみ込んでたな…
この世は終わりだ…みたいな感じで」
「うっ…」

陸斗は、アッサリ青年に口で負かされた

「別に、好きで突っ立ってるんじゃない
今の状況に頭がついてこないだけだ」
「へぇ~、そうなのか
てか、見た目一緒なのに雰囲気違うな…」

海斗の口ぶりを、先ほどの陸と照らし合わせる青年

「まぁね…ところで、名前くらい教えてもらいたいんだけど…?」
「あぁ、そういや名乗ってねぇな
オレはラルクってんだ
お前らは?」

名前を聞かれ、一瞬海斗と陸斗は顔を見合わせる

「僕は海斗」
「俺は陸斗だ」
「へぇ、カイトにリクトね~
で、何に頭がついてこねぇ~んだ?」

お互いの名前を知ったラルクは
先ほど海斗が言っていた言葉を尋ねた
その瞬間、海斗の頭には「信じてもらえるか?」という不安がよぎった
しかし、そんな不安は陸斗がブチ破った

「ココが何処だか分からねぇんだよ!!
ココ何処だよ!?何だよこの草原!!
つか、山多すぎだろ!!
草原の風が、俺達に、余計虚しさを感じさせたっつーの!!」

海斗に答えてもらえなかった疑問が一気に爆発したようだ
そんな、陸斗にラルクは一瞬目を点にしたが
すぐに元に戻った

「何混乱してんだよ
ココはリフィルトゥ草原だぞ?」
「リ…リフィ?」
「リフィルトゥ草原…聞いたこと無いね…」

慣れない言葉に、しどろもどろな陸斗に対し
海斗はスラッと言ってのけた
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