風の音色
「リフィルトゥ草原を知らねぇーなんておかしな…」

「おかしなこと…」と続ける言葉を切り
ラルクは、海斗と陸斗を見る

(見たことねぇ服装に…変なカバン…違う国からの訪問者か?)

「お前ら、何処から来たんだ?」
「日本からだよ」
「にほん?何処だそこ?」
「はぁ!?日本は日本に決まってるだろ!
北半球にある島国!」
「陸斗、よく北半球って分かったね」
「どういう意味だ海斗!?」
「そのままの意味だよ」
「俺だって、北半球ぐらし知ってるっつーの!」

兄弟喧嘩…いや、陸斗がからかわれるのを見ながら
ラルクは地図を開く

「これは、世界の地形が描かれたものだ
お前らの言う、日本が何処か探せば良い」

ラルクの声に、2人は地図を覗きこむ
大きな大陸が3つ
小さな島が無数に点在している
どこを見ても、日本の形を見つけることが出来ない
そもそも、この地図には赤道も無ければ
経線も、緯線も何も無い
北極がある所に何も無い
南極がある所に大きな大陸が1つある
3つの大陸は、見たことの無い形をしていた

「…無い…」

海斗の呟くような声が静かな空間に響く
陸斗は唖然と未だに地図を見ていた

(…異世界なんだ…)

ココロの中に小さくあった可能性が、今事実となった

「無いって、どういうことだ?」
「無いんだよ、僕らがいた日本という土地は…

この世界には」
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