HERETICAL KIDS
「さて…と」

小屋から出たリュートは、人間界に行くために中央公園の噴水に向かった
中央公園の真ん中にある大きな噴水、これが通り道なのだ

「さっさと行こ」

封筒は濡れないように、ちゃんとリュックにしまってある
飛び込む準備は万端、噴水に向かって走り出す

「リュート!!!ちょっと待て!!!」
「ッ!?!」

何者かの大きな声によって呼び止められたリュート
人は急には止まれない
特に、スピードに乗ったリュートが急に止まれるはずもない
何とか止まろう…という思いと、大声に驚かされバランスを崩し派手に転んだ

「いっっっっってー!!!」

地面に顔面直撃は回避したものの、かなりのスピードで地面を転がったので腕などにかすり傷ができた

「…何の用だよ…」

呼び止めた人物に少しの殺気を放ちながらユラリと立ち上がる
とても痛かったのだ…そりゃ頭にもくるだろう

「いや…その…お前に伝えておくことが…」

殺気を向けられた隣のおじさんは、アタフタしながら必死に呼び止めた理由を説明しようとする

「ふ~ん、伝えたいことなぁ~
その前に、よくオレの足に追いつけたよなぁ…隣のおじさん
そんな太い体で…」
「誰が太いんだ!!」
「隣のおじさんだって
あ、そっか…転がってきたんだな
なるほど…走るより数倍早そうだな」

ニヤリと笑いながら言う
隣のおじさんをからかうのが、リュートは大好きなのだ
< 25 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop