HERETICAL KIDS
不思議な少年
リュートは、静かに人間界に降り立った
まずは、状況を把握するために辺りを見回した
あまり広くはない路地、だが狭すぎることは無い
自転車だってすれ違うことが出来るし、車だって軽自動車なら1台くらい何とか通れそうだ
空を見れば、少しオレンジがかっている…どうやら、夕方のようだ
建物で左右を塞がれたこの道は、あまり光が差し込まず、少し薄暗い
街灯も少なく、300m先に一つしか見当たらない

(ココ何処だ?…人通りは少ないし…裏路地か?それより、家の場所確認しないと)

リュートは家までの道のりと、家の特徴を知るために
小屋からもらった封筒をリュックから出し、そこから地図を探す
大きく『地図』と書かれている紙を、ためらう事無く取り出した

「……」

リュートは地図を広げて見た瞬間固まった
その表情は驚いたものから、疑うような顔になる

「何だよこの地図!?雑にも程があるっつーの!!
地図って、名ばかりじゃねぇーか!!!」

大声で叫ぶと、地図と書かれた紙を地面に叩きつける勢いで投げる
薄い紙一枚の地図は、叩きつけられ事無く、勢いとは反対にフワフワと地面に落ちていく
その地図を見て見ると、紙に描かれているのは、線が3・4本
家の場所を示しているであろう、四角とそれに向けられている矢印
そして、一番上に大きく『地図』という文字が掲げられていた
これは、リュートでなくても投げ捨てたくなるだろう
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