HERETICAL KIDS
―20分後―

(着いた…)

日は暮れてしまい、月が少しずつ光りを強めている
リュートは立派な一軒家の前に立っていた
少年の地図のおかげで、全く迷うことなく、ココに辿りつけた
少年に出会わず、あのままふざけた地図で歩き回ってたら…と考えると、身震いが止まらない

(ってか、デカイって…オレ1人にこの大きさって、ありえないだろ)

目の前に佇む家は、どう考えてもファミリー向けの大きさをしていた
間違っても、リュートのように1人暮らしが暮らす家ではないだろう
駐車場と庭のある家…もちろん、リュートは車など運転できないのだから不必要なものなの
無駄な出費だなぁ…と頭の隅で考えつつ、念のため表札に目を向ける
そこには『河原』の文字が堂々と書いてある
さらに、何度も絵と比べるが、特徴は見事に一致していた

(家の特徴が一緒だし、オレの苗字だし…間違いじゃねぇよなぁ…)

リュートは封筒の中から鍵を取り出し、鍵穴に入れてみる
鍵はスッと入り、カチャリという小さい音を立てて鍵が開いた
ガチャッとドアを開け中に入る
玄関には、備えつけの靴箱があり、玄関のすぐ左側には階段がある
リュートは、靴を脱いで右側に続く廊下を歩いていく
廊下はすぐ曲がり角になっていた
廊下のままに曲がると、左右に扉があった

(こっちが…トイレ…と…お風呂かぁ~)

左側の扉の奥は、どうやら水まわりが集められている

(こっちは…)

廊下を挟んで反対側の扉を開ける
そこは、キッチンとリビングダイニングが広がっていた
3つの間に仕切りは無く、大きなワンルームになっている
キッチンは広く、大きな冷蔵庫が置かれている
ダイニングには、4人掛けのテーブル
リビングには、3人は座れるだろう長いソファーと2人で座る少し短めのソファー
そして、テレビとテーブルが置いてある

(…この冷蔵庫デカすぎだろ…オレ1人だっつーの!)

冷蔵庫に限らず、1階に備え付けられている家具、全てがファミリー用だった
家具がしっかり備え付けられているため、1人が余計に強調されている感じがする
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