前世と今~記憶の鎖~
「そういえば、さっき…優希、関西弁で喋ってたよな?」
「え…えぇ、そうね…それが??」
「俺達、関西弁で喋らないだろ?」
「あ…」

哲哉は、分娩室前でのやり取りを思い出した
優希の関西弁のことを言われ、初めは意味が分からなかった美紗子
しかし、哲哉の一言にもう1つの違和感を知ってしまった
美紗子も哲哉も関東出身で、関西弁を喋らない…というか喋れない
今住んでいるところも、関東で周りに関西弁を喋る人も少ない
テレビで知ったというのも考えられるが、あまりにスラスラ喋れ過ぎている
疑問が疑問を呼び、2人で話し込む美紗子と哲哉をよそに、優希は優希で一生懸命考えていた
しかし、どれだけ考えても解決策など思い浮かばなかった
頭の中は、ずっと堂々巡りで答えに辿り着けない
そもそも、この問題に答えなど存在するかさえ分からない

「…」
「…」
「…」

3人が考え始めて、30分ほど経とうとした時
長い沈黙を美紗子が破った

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