前世と今~記憶の鎖~

子ども園

~春~

(1000年経っても変わらない…)

変わらないのは、建物ではなく仕組み
桜が満開に咲き誇り、春の暖かい風が吹く今日
優希は、この騒がしいところにやって来た

「はい、皆さん、おはようございます」

ニコニコ笑顔に保育士にならい、園児もおずおずと挨拶をする
挨拶を園児の横では、泣きわめく園児もいる4月
優希は、1人冷静な目で周りを見渡す

「失敗やったかなぁ…」

園児用の小さい椅子に座り、ポツリと呟く
何故、ココに優希がいるのかと言うと…

~遡ること数日前~

「優希ちゃんも、子ども園に通いましょう!」
「…なんで?」

気合の入った美紗子の声とは正反対に、冷めた優希の一言
しかし、そんな優希を気にせず美紗子は話を続ける

「同じ年の子と遊びたいでしょう?」
「いや、別に…恭ちゃんと遊ぶことだってあるし…」

恭ちゃん…とは、優希の幼馴染の男の子
恭ちゃんと遊ぶ事があるので、同じ年の子と遊んでいるという事が言いたいのだ

「んもぉ~、そんな事言わないの!
閉じこもってちゃダメだぞ!」
「いや…それ、何かちゃうやろ?」

別に閉じこもってるわけでは無いのだが…と、優希は呆れた目美紗子を見る
呆れた目で見られようが、間違った気合の入り方をした美紗子は止まらない

「とにかく、入園申請したから、今から面接行くわよ~♪」
「…はぁ…」

~回想終了~

と、まぁ、半ば強制的に入園させられたのだった
入園の時期である4月
そんな4月は、子ども園に慣れず泣きわめく子が多い時期だ

「はぁ…」

そんな中、園児に似合わぬため息をつく優希
朝のお集まりを終えた今は、皆自由に遊んでいる
今、教室にいる子はわずかで、ほとんどが外に遊びに出て行った
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