前世と今~記憶の鎖~
「ほらほら、ケンカしないの!
どっちが最初に持ってたの?」
「ぼくだよ!」
「わたし!!」
「…正確に言うと、自分なんやけどね…」
「え?」
「あ…」

思った事を口に出すタイプの優希は、しっかりと口に出していた
言うつもりは全く無かったのだが、口から出てしまったものは、取り消せない
保育士からの視線に落ち着かず、視線を彷徨わせる優希

「優希ちゃんが持ってたの?」
「…まぁ、持ってたけど…読み終わったから、えぇよ
先に持ってたんは、男の子やから」

優希はそれだけ言うと、立ち上がり逃げるようにその場を去る

(あぁぁぁ!!子どもっぽくなんて無理だっつーの!!)

優希は大声で叫びそうになるのを、何とかこらえた
そして、余計な事を言わないように、帰る時間まで出来るだけ喋らずに過ごした
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