前世と今~記憶の鎖~
「じゃあ、公園はどうかしら!」
「うん、それやったら暁の日光浴にもちょうどえぇなぁ~
ほな、出かける準備してくるわ」

優希はそう言うと、自室に戻り出かける準備をする
美紗子と哲夫も準備にとりかかる

「優希の話術凄いよなぁ~」
「そうなのよぉ~、私絶対勝てないわぁ~」
「俺も勝てる気がしないな…」

2人はそんな会話をしながら、暁の準備をしていく

「優希は自分で準備してくれるから、ホントに楽だなぁ」
「そうなの、おかげで暁の準備だけで良いのよねぇ~」

準備を終え靴をはいて優希が来るのを待つ
すると、しばらくして優希がやって来た

「お待たせ、ほな行こか~」

優希が靴を履き終えるのを確認して、公園に向かう

―公園―

暖かい日差しが降り注ぐ今日は、絶好のお散歩日和だ
近所の公園に行くと、既に何組かの子連れ
そして、小学生くらいの子ども達が賑やかに遊んでいる

「優希、何して遊びたい?」

哲夫の一言に考え込む優希
「何がしたい?」と聞かれても、やりたい事が無い
ベンチにでも座ってゆっくりしたい…と、おおよそ子どもとは思えない事を思っていた
砂場はすでに多くの子どもが遊んでいるし、広場は野球やサッカー…バレーボールなど、多くの球技に使われている
遊具も満席状態だ、何をしよう…とも思えない

「…芝生の上で昼寝かなぁ…」

優希の返答に、哲夫はコケそうになった
確かに大人な哲夫にしてみれば、昼寝は体を休められる魅力的な事だ
しかし、それを子どもの優希に言われると、娘と遊ぼうと気合を入れた親としては中々微妙な気分だ
その様子を美紗子は、暁を抱っこしながらクスクス笑って見ている

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