前世と今～記憶の鎖～

「ねぇ、お腹すいてるんちゃう？」
「ぇ…ぁ！ホント、もうそんな時間！」
「……」

パタパタと準備する美紗子に対して、本当に不安になった優希
もし、自分が初めに生まれていなかったどうなっていたのか…考えただけでも恐ろしい
優希は小腹がすいたので、適当におやつを引っ張り出し食べる
すると、美紗子が哺乳瓶を持って戻ってきた
暁は瞬く間に静かになったのだった

「そういえば、お父さんは？」

姿の見えない哲夫を不審に思い、美紗子に尋ねる

「あぁ、お父さんなら昼寝中よ～」
「…まぁ、いっか…」

自分の父親である哲夫に言いたい事はいっぱいある
何故今の大音量な泣き声で起きないのか…とか昼寝ならそろそろ起きないと…とか
色々な言葉が頭を駆け巡ってが、結局優希はおやつを食べることに集中した
暁もお腹が一杯になると、ウトウトし始め眠ってしまった
美紗子は残っている家事をするため、バタバタ走り回っている

(…暁が起きても知らんでな…)

呆れた目でその姿を追いつつ、おやつを食べきったことに気付く
小腹は満たされたので、優希はパソコンで時間を潰そうと自室に戻る
優希が静かなので、基本的に暁は安眠できる
美紗子の移動する音で目覚めたり、哲夫が寝ている暁に構って起こしたり…という事はあるが…