前世と今~記憶の鎖~
3歳と0歳

3歳の誕生日

~西暦3260年10月10日~

「やっと…3歳かぁ~」

優希は、絵本を読みながらポツリと呟いた
今日で、優希が生まれてから3年という月日が経ったことになる
夜泣きもせず、好き嫌いも無い…手がかからなかった優希
親は、手のかからない子…と喜んでいた
実際、精神が精神なので夜泣きもなにも、あったものでは無いのだが…

(長かったなぁ~…)

絵本から壁にかけてあるカレンダーに視線を移し、この3年を振り返る
子育て初心者な親の悪戦苦闘に冷や冷やしてこと…
ハイハイが出来るようになるまで、親がいないと何も出来ない事に苛立ちを感じた事もあった
前世の記憶があるために、自由な昔を思い出し、うな垂れる日々
自分でハイハイして動けるようになった時は本当に嬉しかった
歩けるようになった時は、感動すらした
きっと、自分が歩けたことに感動したことは、これが初めてだろう

(それにしても…自分が死んでから1000年も経っとるとは…)

生まれてから間の無く、今の西暦を知った優希
それは、優希が死んでから1000年後の未来だった
あまりに先の未来での転生に頭をかかえたくなったが、その時は頭が大きすぎて頭を抑える…に留まった
1000年も経っていると、景色は大きく変化しており、昔の一般的な町並みの面影は無くなっていた

(電車は、ロープーウェイみたいにレールが上に一本だけになっとるし…
車は公共の乗り物になって、更に宙を走行しとるし…)

車は全て機械によって管理、運転されていて、人が運転する…ということは無くなっていた
そのため、自家用車…という物が無くなり、バス停の代わりに車乗り場があちこちにあり、車が常に待機している
車の種類…行き先など、全てを指定でき、そこまで自動運転で連れて行ってくれる
人が運転しなくなったため、事故は全くと言って良いほど無い
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