前世と今～記憶の鎖～

「ぁ…優希ちゃん、起こしちゃった？」
「うん、暁の声大きいからなぁ…」
「ごめんね」
「お母さんが謝ることちゃうよ、暁の泣き声が大きいのは誰のせいでもないしな
お母さんが頑張ってるのは分かってるからさ」

優希の言葉に、感動したのか美紗子は優希に飛びつく
もちろん優希の小さな体で受け止められるわけが無く、優希は思いっきり後ろに倒れた

「…あのさ…手加減してくれへん？」
「ご、ごめんね」

感動したのはよく分かった…見てるだけでも分かる
なので、相手が３歳児である事を考慮していただきたい
優希は８７㎝という３歳の中でも小柄な方なのだ…１６４㎝もある大人を受け止められるわけがない
美紗子は申し訳なさそうに優希に謝り、優希も特にそれ以上咎めることはしなかった

「それより…暁を何とかしないと」
「そ、そうね…」
「とりあえず、ミルクあげたら？」
「ぇ…もうそんな時間？！」

美紗子はパッと時計を見る
時計が示す時間は、ミルクをあげる時間をほぼ示している
暁が泣く原因が分かった美紗子は、慌ててミルクを作りに部屋を出る

(お腹すいてるから、どんなにあやしても泣き止むわけない…)

優希は、泣き止むわけが無いと分かっていながら、暁の頭を撫で美紗子が来るのを待つ

「おまたせぇ～！」
「暁、ご飯がきたで～」

優希は美紗子に場所をゆずり、美紗子は暁を抱っこしてミルクを飲ませる
やっと大音量の騒音が止まったのだった
優希はその様子を見て、大丈夫だと判断し自室に戻る

「ふぁ～…ねむぅ～」

大きなあくびを一つして、優希は布団に潜り込む
今度は暁の泣き声に邪魔されず、グッスリ眠ることができた