前世と今~記憶の鎖~

ゲーム

「ん~…一通り軽く見たけど…このゴーグルって何や?
全部のゲーム、これ無いと出来んみたいやし…」

ゴーグルと言われるものが、何なのか全く見当がつかない
昔、プールで使っていた、あのゴーグルで良いのだろうか…と優希は考える
しかし、あのゴーグルとゲームがどうにもこうにも繋がらない
頭をひねっても、分からないので、優希はひとまずキッチンに行くことにした

「お、はやいな」
「お父さんこそ、珍しく早いね」
「なッ…お、俺だって早起きくらい!」
「お父さんの早起きは休日限定でしょ?」
「うぐッ…」

キッチンには哲夫がいて、一人でトーストを食べている
そこに優希がやってきて、哲夫が軽く声をかけると、痛いところを突かれるのであった
優希の言ってることは、事実なので否定のしようもない
哲夫は、平日は美紗子に起こされないと起きない
だが、何故か休日は自分から平日よりも早く起きてくる

(…子どもやん)

哲夫の行動に、そんなことを心で思いながら優希はトーストの準備にかかる

「そういえばさ、お父さんオンラインゲームで使うゴーグルって知っとる?」

優希はトーストが焼きあがるまでの間、哲夫の向かいに座り、尋ねる
哲夫は口に入っていたトーストを飲み込み

「当然知ってるに決まってるだろ~、オンラインゲームには必需品だからな!」
「それってさ、どういう物なん?」
「ん?なんだ、優希はオンラインゲームがやりたいのか?
なら、朝ご飯食べ終わったら買に行くぞ!」
「ぇ…ちょ…別に買わんとアカンものやったら別に…」

優希が断ろうとしたが、気合の入った哲夫は止まることはなかった

(…あれ?デジャヴ?)

デジャヴではなく、優希を子ども園に入れようとしていた時の美紗子だ
どうやら、類は友を呼ぶらしい
哲夫も変に気合が入ると止まらないようだ
優希は、諦めてトーストを頬張る
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