前世と今～記憶の鎖～

「女性は全員聞いてまわった…優希の喋り口調じゃなかったし…知ってるっていう雰囲気も無かった…ナンパかっていう目で見られただけだし…」
(あぁ…やっぱり、ナンパにしか見えへんかったか…)
「まさか男キャラを！！！？いや、そんなことはない！絶対ない！！！てか無いと願ってる！！！！」
「…は…はは…」

シュラが大声を上げだしたので、ツバサは若干距離をとり遠巻きに見る
要は他人の振りだ…この人とは無関係ですオーラを出して痛い人を見るような視線から逃げる

「もしかしたら、休憩しとるかもしれへんで？
一回リアルで見てみたら？」

腕に着いている時計をシュラに見せて言う
時計は昼時を示していて、少しばかり空腹を感じる

「そ、そうだな…一度様子を見てくるか、じゃあな！」

そう言うとシュラは「T」と空中に書き、システムを開くとゲーム終了を押してその場から消えた

「ほな、僕も戻ろうか」

ニヤリと笑い、ツバサも同じようにして消えた

[ゲームを終了いたします]

「ふぅ…面白かったなぁ～～♪」

ニヤニヤと哲夫の反応を思い出し笑っていると…

ドタドタドタ！！！！
バンッ！！

荒々しい音と共に

「優希！！」

哲夫が勢いよく入ってきた
それを予想していた優希は、特に動じる様子も無く哲夫に視線をやった

「ん？何や？」
「『ん？何や？』…じゃない！何でチュートリアルから出てこなかったんだ！？」
「ちゃんと出たで？」
「は…？なら、何で出たところで待ってないんだ！待ってろって言っただろ！？」
「何言うてるん？チュートリアル出た後、動いてへんで？」
「…へ？」

優希の返答に哲夫はしばし固まる
チュートリアルから出ていないかと思えば、出ている
なら、出たすぐの場所からいなくなったと思えば、動いてないと言われ哲夫はポカンとなる

「やから、ちゃんと出た言うてんねん、出た場所からも動いてへん」

優希の言っていることは正しい
優希はチュートリアルを出た後、哲夫のすぐそばにおり広場を１度たりとも離れていないのだから