前世と今~記憶の鎖~
「ま、妹とかにでも期待したら?」
「え…?」
「や、何でもあらへん
ほら、お昼ご飯食べに行こう」
「あぁ、そうだな」
(妹できるか分からんしな~)

2人はキッチンへ向かう
キッチンでは、美紗子が料理を終えたところだった

「あら、2人とも!ちょうど呼びに行こうと思ってたのよ~♪」

ハイテンションの美紗子が、テーブルにご飯を並べている間に、2人は手を洗う
暁はちょうどお昼寝中なので、とても静かな昼食になりそうだ
3人そろって椅子に座り、手を合わせる

「「「いただきまーす」」」

昼食は淡々と進み、最初に食べ終わった優希は、さっさとシンクに食器を持っていく

「優希ちゃん、そんなに急いでどうしたの?」
「オンラインゲームの続き、早くしたくてしゃーないねん」
「あら、お父さんの影響かしら?」
「だろ?俺のゲーム好きが優希に遺伝してるんだ!」

美紗子の言葉に、嬉しそうに肯定する哲夫
それを冷たい目で見つめながら、優希はソレを叩き斬るために口を開く

「残念やけど、遺伝とちゃうで?前世からゲームが好きなんや
そうやないと、パソコンもろて早々にオンラインゲーム調べるわけないやろー」
「……」
「あら、残念ね♪」

ズーンと落ち込む哲夫の背中を、ポンポンと叩きながら美紗子は嬉しそうに言う
その笑顔にどんな意味があるのか気になるが、美紗子の場合無意識な事が多い
多分、今回もこの綺麗な笑顔に深い意味などないだろう

「ほな…」

優希が自室に戻ろうとした時、大きな暁の泣き声が響き渡る
美紗子が慌てて寝かせている部屋へと急ぐ

(昼ご飯食べたみたいやから…空腹ではないやろ…)

気になって、優希も遅れて部屋へ向かう
そこには、暁のオムツを変えている美紗子

(あぁ~…オムツかぁ~)

優希は納得して部屋を出ようとするが、それは叶わなかった
美紗子のお願いによって…
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