恋愛不向きの彼の愛し方

「へぇー、陸哉って言うの？その男」


「何、言っているの？妬いたって怜香はダメだからね。海斗さんが遊んでいい相手じゃないの！いい？」


杏里の手が海斗さんの腕を引っ張った。そして予想通り、バシッと肩を叩いている。


「痛くないですか？」


苦笑しながら海斗さんを見ると、


「スゲー、痛い。杏里ちゃんってかなり握力あるんだね」


握力の問題なのか定かではないが、杏里の酔った時はちょっと手強いのは事実だ。


叩かれた肩を撫でながら海斗さんは杏里を杏里の隣に座っていた男性、哲也さんに任せて私に向き直るとニッコリと微笑んだ。


「いい友達持っているね。狂暴な番犬だけど。でもね、喧嘩もしたことがないってどうなの？それでちゃんと愛されていると言える？」


私は陸哉が初めての彼でそう言われてしまうとわからなくなってしまう。


凄く優しくて、たまに間違ったことを言うと正してくれるし、叱られることもある。


それでは愛されていると言えないの？