恋愛不向きの彼の愛し方

偶然に

海斗さんの言う『Sky』は、大学生にはちょっとお洒落なbar。雑居ビルの地下にあり、ブルーライトに照らされたドアに『Sky』と浮き出ていた。

重厚なドアを開ければ、カウンターとテーブル席がすぐに目に止まり、長身で顔のパーツのまとまりのいい所謂イケメンのバーテンダーがいた。


「いらっしゃいませ」


微笑みを浮かべ腰を折り頭を下げたバーテンダーに、

「キモッ…」

毒舌の海斗さんが突っ掛かった。


「こちらに」


促されてバーテンダーの正面に四人並んで座ると直ぐ、

「女性を連れてきたのは、初めてですね。どちらのお嬢さんが海斗の大事な娘？」

海斗さんに意味深な目を向けたバーテンダーだったが、海斗さんは、

「俺じゃねェよ」

と辺りをキョロキョロと見回した。


「お嬢さん方、はじめまして。海斗の兄の蒼空（ソラ）です。お近づきの印に一杯目はサービスさせていただきますね。好みはありますか？」