恋愛不向きの彼の愛し方
この日、初対面だったにも関わらず、ドタキャンした友達のかわりに謝る優しい女の子たちだった。


男性陣との待ち合わせの駅。


そこに近づこうとした時、杏里が急に立ち止まった。


「ゴメン、怜香。海斗さんまかせた。私、無理」


「え？」


これには、前を歩いていた二人も反応し、振り返った。


「あ、あのね。歯医者では、マスクで口許見えないでしょ。イメージと違った！というより、なんかキモい」


酷い言い様だ。


「怜香ちゃん、杏里の言う事聞く必要ないから」

「何なら帰ってもいいよ。彼がいるんだよね？」


紗耶香と舞はそう言ってくれてはいるが、杏里の目が、スペ定食い逃げかと、鋭さを増した。


「大丈夫だよ。此処まで来て帰るのも失礼だし」


作り笑いをすると、明らかにホッとした表情の杏里がいて、思わずクスッとしてしまう。
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