恋愛不向きの彼の愛し方
杏里も気づいていないだろうけど、十分素直で、こういうところが憎めない。


「明日も、奢りね」


杏里に耳打ちして、早足で紗耶香と舞の横に並んで歩いた。


――――――
―――


「へぇ。じゃあ、怜香ちゃんは、杏里ちゃんと同じ大学なんだ」


飲み始めて、少しして、海斗さんの横に座り、会話をしている。


実際の海斗さんは、入学したて以来、久々に合コンに参加した私を知って、緊張を解してくれる物腰柔らかい人。


聞き上手、話し上手な印象をうけた。


「怜香ちゃんさ、彼氏いるでしょう?」


海斗さんの薄茶色の瞳が、私を射ぬく。


合コンだから、嘘をついて否定したほうがいいのはわかっているのに、


「あ、はい。わかりますか?」


馬鹿な私は、やっぱり嘘がつけず、少しの間をあけたのち、応えていた。


「ハハッ、……いいね。怜香ちゃんは」
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