半分の心臓
そんな淡い恋心を
あの人たちには言えるはずもなく
いつの間にやら
優しい人々に囲まれたボクは
腫れ物を触られるかのように
やさしく丁寧に扱われ
泣きそうだった。
 
幼い頃から一番なついていた
母方の祖母からのお祝いでさえ
ただの同情なのかそれとも
本当の好意なのかを
疑ってしまうくらい。
人間が荒む。荒む。
 
そんなこんなで春休み中
罪深きバベルの塔の建設に勤しんでいたわけ。
  
「・・・はぁ・・・。」
 
解き放たれた
鍵付きの入学祝は
足の部分やクッション、

ハンドルなどのゴムの部分は灰色をしており
その他はアルミやスチールなど
光り輝く素材を使っている。
 
きらきらきらきらと輝くアルミは
送り主の純粋さを示しているようで
ズキズキズキズキ痛い。 
 
できるならこの自転車を
ポンコツ男に似合いの薄汚い中古品と交換してもらいたい。
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