半分の心臓
泣き顔は目立つ。
煙星学園は市街地の反対側。
どんな経路をたどろうと
はしゃいでいる人間と交差する。
制服を見れば、
どこの学校か分かるから
せめて奴等にはボクの顔が見えないように鼻をすすりながら下を向く。
シュー、シュッ。
鼻炎のせいにできるから、
涙目も正当化される。
シュッ。
早く。早く。
頼むから早く行ってくれ。
いい加減、鼻が痛い。
第一志望?
ボクは近くにいなかったから
認められなかっただけなんだよ。
お前らとボクとでは
レベルが違うんだ。
第一志望に通ってるって?
臆病風に吹かれたんだろ?
どうせ。
単にボクは運が悪かっただけだよ。
ボクはな、
仕方なしに『煙星』に
通ってやるんだ?
分かったか?
キミらとは違うんだよ。
キミらとは。