半分の心臓
しかし、それを素直に受け止めることはできなく、
数ヶ月前まで
 
「『煙星』には行くなよ」
 
なんて言っていた過去の奴と対面させてやりたい気分だ。
 
本音と建前って怖い。

これは、ボクらへの慰めではなく父自身への慰め。

 
そんな大人に元気よく対応している松岡。
 
高校受験を失敗するってことは
大人に換算すれば解雇宣告に等しい。
 
「~ですよ」
 
がどことなく焦臭いとき、コイツは笑顔でいても本当は笑ってない。
 
我が父のことながら大変申し訳なく思う。
 
全く、どっちが大人なんだか分からない。
松岡も家で散々言われていただろうに。
 
ボクは大人受けする対応ができる
松岡の表情をちゃんと見る余裕はなく、
自分の手を見ながら唯単に父親の発言にむっとしていた。
 
ふと窓を見ると
車の中からちらほら
下向に上を向く生徒が見える。
 
彼らの視線の先を追うと
大きな建物が連接している。
 
「ここが煙星・・・?」
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