半分の心臓
受験票を提出し、
受付を終えたボクらは
今後の一年生の日程表と
入学式の目次の書かれた
パンフレットをもらい
会場へと足を踏み入れた。
 
大きな講堂。
ホールは2階建てだ。
舞台にはお偉いさんへのパイプ椅子が並び、
中央には校章付きの演説机、
その上には『煙星中学高校合同入学式』と書かれた垂幕が完備。
 
5階にはご遺体の復活を熱心に祈る保護者達。
 
4階は目が死んでいて恨みの残るゾンビと推薦組という曇りなき人間とに分けられる。
 
席は自由。
 
父は多分5階へと誘導されるだろうからと気にせずにボクらは、空いている席を探した。
 
当たり前と言えば、当たり前かもしれないけど受験校の決め手のひとつは『近所』であることだ。
 
家から遠いため、ボクの出身中学者はほとんどの受験しない。
 
一応、辺りに知り合いがいないことを確認し席に着いた。
 

「ふぅ~」
 

席に着くや否や深い息が出る。
 
大勢の中の孤独に癒しを感じるのはこのときくらいのものだろうか。
 
周囲から孤立したこの空間が心地いい。
 
知り合いがいないのは何と落ち着くのだろう。
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