半分の心臓
松岡のことは気にせずにさっきもらったパンフに目を通していると 

「何でお前はいるの?」

「お前なら受かっていてもおかしくないのにな」

と、どこもかしこも似たような会話が聞こえてくる。

こんな会話のとき
負け犬役と元上流家庭役がスムーズに決まり寸劇が始まる。
 
そんな傷の舐め合いはボクはゴメンだ。
 
認めているフリしてお互い話は聞いていない。
 
声がでかい奴ほど自分の実力を主張したがる。
 
何で俺ばかり、
俺が落ちるはずがないんだ。
 
お前らは当然だけど。と。
そう言いたげ。
明るいんだか、暗いんだか。
 
大人なんて、社会なんて。
所詮、クズばかりだ。
話しかけるんじゃねぇよ。クズ。
負け犬には有名滑り止め高校がよく似合うじゃないか。ははは。
 
自分はお前らとは違うのさ。ここにいるけどね。
 
ぶつける事のできない不満は
他人を見下すことでしか表現できない。
 
全員が全員、
その他大勢を見下しているだから
自然と言えば自然な空気。
仕方ない。仕方ないんだ。
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