半分の心臓
入学式が始まった。
本当に通夜がはじまるような悲しみにくれた空気。

簡単な挨拶の後、
最初に出てきた学園長が妙にイラつく。

厚い口紅。
ハワイ帰りを思わせる肌色のスーツ。
 
スカートは良く熟れたなすびのように張っている。
 
指からはきらきらとアクセサリーが光る。
 
どうして金持ちって奴はあんなに宝石を貶めることができのだろうか。 
肉が石を飲み込んでいる。
 
学園長の話は主に
有名デザイナーが制作したという女生徒の制服話。
 
まさか、入学式に女生徒の制服の説明を受けるとは思わなかった。
 
上品に仕上がったやら、雰囲気がいいとか言うものの
ここでするような話ではない。
 
制服は長いスカートに紺のブレザー。
 
ブレザーには
学校のマークがあって
学園の気品を表しているらしい。
 
ブラウスは何となく退職寸前のOLのようにも感じる。
 
全体的に若々しさよりも、
おばさんのネグリジェを見せられているような気分。
 
これを許可するんだ。
やっぱり、指にメリケンサックをつけて戦っている人はどこか一般人とは美的センスが違うのだろう。
< 24 / 40 >

この作品をシェア

pagetop