半分の心臓
 
なんて思っていると、強い口調で

「キミたちは、合格した子達よりもすばらしい経験を持った。きっと、その悔しさをばねに跳ね上がるだろう!」
 
と、今までの自分たちの努力、現状を認め、これからの未来を見よと言う。
 
それが本心なのか
それとも講演会用の演説なのかは分からない。
 
ただ、舞台のど真ん中で
クソまじめに一生懸命言う校長。
 
髪がないのは嘘みたい、
見る見るうちに表情が生まれ目鼻立ちがくっきりし
力強く若々しく見え、スポットライトが後光のように校長を照らす。
 
この言葉を信じてもいいものだろうか・・・。

熱意につられてボクの目にも熱いものがこみ上げる。
 
人生の墓場に片足を
突っ込んでしまっている生徒達にとって
『やり直しができる』
『再生できる』
『自分も輝くことができるんだ』
と言う言葉がどれだけ
心強いものだっただろうか。
 
 
人生の競争に2度負けているボクに
希望を与えられる演説だった。
 
同じような言葉なのに父の言う慰めとはまた違う。
 
家族に言われるのと、
社会に言われるのでは雲泥の差だ。
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