半分の心臓
駅周辺から
いつ佐智乃に見つかっても
いいように

姿勢や顔をつくってた。
 
背を伸ばし、目はきりりとさせ、
 
「いざ!戦場へ!」

と言う武将のように誇らしげに、
 
それでいて
「姫、私はあなた様をお慕い申し上げます。」
 
そんな台詞が似合う白馬に乗った王子様気分で、20分間。
 
佐智乃に認めてもらいたい。
逢いたい。
 
そんな気持ちのほうが勝り、太陽がまぶしい。
 
前向きな姿勢。
新しい希望。
以前よりも夢に近づけるかもしれない環境。
 
ボクは彼女の存在で幸せになれる。
明日からも活きていける。
 
そんな言葉は発しないのに
心の中心からじわりじわりと幸せな味が染みた。
 
佐智乃は大切な人だ。
 
会ってもないくせにその存在だけでボクを幸せにさせるのだから。
 
それでも
幸せで軽快な音楽もいつかは終焉を迎えた。
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