半分の心臓
霞ヶ丘高校の前に近づくにつれ、
寂しさと切なさが溢れだした。
彼女に会えなかったからじゃない。
それは己の無知ゆえ。己への後悔。
 
春の霞ヶ丘は桜で満開だ。

丘の上にあるこの小さな学校は、
校門前まで桜並木が新入生を歓迎し、
入れない生徒にも甘い香りだけを運んでくれる。
 
校舎は薄くピンク懸かっていて、
遠くにある夢を見ているようでぼんやりと目に映った。
 
この桜並木前で
可能性にさようならし、
花吹雪をバックにボクは煙星に向かう。
 
「はぁ・・・」
 
受験する高校、知っていたら一緒に受けたのに。
 
道はまっすぐなのにゆがんでいた。
 
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