半分の心臓
予期せぬ訪問者
一階から掃除機がコードを踏む音が聞こえる。
 
ガタン、ゴトン、ガタン。
ギューイーン。ギューイーン。
 
壁にぶつかった掃除機の音が
部屋の向こうから、容赦なく頭を刺激し骨振動を体験する。
 

頭痛に鈍い体。

重いまぶたをこじ開けると、時計は7時半を指す。
 
休日眠りにふけようという、こちらの都合には関係なく、
騒音が止まる気配はない。
 
床を這う気配が近づいてくる。 
ガチャ。
 
部屋の扉が開く。
 
ウィーン。
 
目覚まし並の轟音は目に見えそうだ。
 

「ちょっと、おかん、勝手に入って来ないでよ。」
 

「え?じゃ、はい。」
 

コンコン。


開いた扉を軽く叩く。

形式ばったノック。
 

「はぁ・・・。掃除くらい自分でするから、いいよ。」
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