半分の心臓
「落ちたものは仕方がない」
 
そんなことを親に言われて
本当に
 
「仕方がないな!うん。」
 
なんて思えるような子どもは一人もいない。
 
仕方がないと発言をした後の
親の表情、声の高さ、
肩の落ち具合、プライド、涙、
それらを統合し
一瞬にして罪悪感と言う名の塔を立ち上げる。
 
合格発表の日、
ボクが両親に結果報告をする前にゴミ箱にはすでに第一志望の受験票が捨てられていた。
 
いつ知ったのかはわからないが
両親に目を合わせることはできない。
 
自身の傷よりも親に傷を付けたのが申し訳なく思った。
 
答えられなかった期待が
大きければ大きいほど罪は深く気分も沈む。
 
このとき、両親がどれだけ子どもの言い放つ適当な発言に期待していたのかを理解してしまった。
 
中学校に提出する進路希望調査用紙にある第一志望を
本当にボクが切望している道だと鵜呑みにしてきた両親。
 
ボクの本当の第一志望はそんな紙キレには書かれていないのに。
 
それでも軽い気持ちで書いた

『第一志望』にも合格しないと
自分には価値はない。
そんな風に思わせるお家柄。
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