墜ちた羽根
相変わらずだな。そう思った。
こうやって俺は恨まれる。それで良い。

そのまま守衛に引っ張られ、牢屋の自分の部屋に戻った。
手錠は外されて手の自由が戻った。
牢獄に入っている他の囚人が、
“死ぬんだってな王子様”とか“落ちぶれたな”と言葉を投げる。
別にそれも気にはしなかった。
考えていたのは思っていた以上に死ぬまでの期間が長い事。
死ぬと分かっている運命ならば、
今すぐにでも俺は死んでしまいたかった。

偶然俺の牢屋に落ちていたナイフがあり、拾った。
それをベッドから取り出して自らを傷付けた。
ナイフは没収されないようにとこっそりとまた隠した。
1番傷付けたい背中には壁に体当たりをして傷付けた。
もう羽根なんか出すのは嫌だったから。
その行為をする度に、守衛が来て手当てをして。
それの繰り返しだった。

死ぬまでの2週間、必死になって
1日でも早く死ねるようにと努力をしていた。
そして執行日前夜。弟のハルヤがやって来た。
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