墜ちた羽根
「実は昨日…あ、一昨日かな。
父さんの死が彼の手によるものじゃないって分かったんだよ」
「オウヤ君…知っているの?」
「知らないんじゃないかな」
「最低っ!知らせないまま死なせるなんて。可愛そうだよ…」

可愛そう、本当に何も知らないまま死んでしまうなんて。
もう私には絶望という言葉しか頭にはなかった。
大袈裟にこの世界が全て消えてしまえば良いと、
勝手に願ってしまう自分がいた。

「ハルヤ君、やっぱり君とは結婚出来ない」
「駄目だよ。君は僕の羽根を拾ったから」
「それでも納得なんて出来ないよ…!」
「君は死者と結婚したいとでも?」

私は頷いた。頭が可笑しいと思われても良い。

「やっぱり君は面白い人だね…
流石に死者とは結婚させられないけど。
全てが落ち着いた頃にまた迎えに来るよ」
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