墜ちた羽根
私はふと思った。
これじゃあ守るも何もないんじゃないかと。
オウヤ君は大怪我をしていて、しかも熱まで出している。
そんなボロボロの状態でどう私を守ると言うのか。
逆に私がオウヤ君を守らなくてはいけないような気がしたけど、
本人には口が裂けても言えない。

「有難う」

結婚とかは不本意だけど、初めて見るオウヤ君の優しさに
感激してしまって出た言葉がこれだった。
オウヤ君は驚いて、感謝される事じゃないと怒った。
少しだけ笑ったように見えたのは気のせいだろうか?
まだ聞きたいことがあったけれど、
これ以上話せばオウヤ君の体調が更に悪化する気がしたから止めた。
ゆっくり休んで、少しでも傷が癒えて熱が下がれば良い。
< 24 / 117 >

この作品をシェア

pagetop