墜ちた羽根
行かないと言い張るオウヤ君を強引に引っ張り出して、
居間へと向かった。しっかりと4人分あった。
おばあちゃんとお兄ちゃんの記憶までは
消していないと知り、胸を撫で下ろした。

「ちゃんと食えよ」
「そういえばあなたお名前は?」

お兄ちゃんが昨日の事が気になったからなのか、念を押した。
おばあちゃんはオウヤ君の名前を聞いた。
そういえば彼はおばあちゃん達には名乗っていない。
ただおばあちゃんに至っては昨日私が帰る前に、
もう既に名乗っているのかと思っていた。

「オウヤって言うの」

無言のままの桜也君に代わって、私が答えた。
“綺麗な名前だね”とおばあちゃんは微笑む。
< 28 / 117 >

この作品をシェア

pagetop