墜ちた羽根
雨は止んでいて、
星が何事もなかったかのように綺麗に瞬いている。
まだ鳥に掴まれたままで、
じたばたすれば絶対に振り落とされる。
そうなったら死んでしまう。
だから大人しくしているしか方法はなかった。
一体何処へ連れて行くのだろう?

高度が徐々に上がって、景色がどんどん小さくなっていく。
夏なのに少し肌寒い。
このままどんどん上に行ったら死んでしまいそうで怖かった。
そう思ったのも束の間、
いきなり真っ白な穴が現れて鳥はそこに入っていった。
眩しかった。ただひたすらに。思わず目を瞑った。
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