墜ちた羽根
「父さんはもう命が短いんだ。」

耳を疑った。命が短い?
病気のような素振りなんて見られなかった。
それから奴の話は少しだけ続いた。

「母さんが死んだ頃かな…
私も病に犯されている事を知ったんだ。
どうも治るような病気じゃなく…
何時死ぬかも分からないものでな…
だから私が死んで哀しむ人間が1人でも少なくなるように、
と城の者にはわざと厳しくして恨ませた。
…お前達にも迷惑をかけたな。すまなかった。国を頼んだぞ」

“私も”?母さんは殺されたんじゃなかったのか?

「幾ら頼みだったとは言え、
余命僅かのあいつに毒を飲ませたのだけが心残りだ…」
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