-astral-星に捧ぐ少女
「どうか彼女の傍にいてあげて…」
エイゼは悲しげにそう伝えた。
「…私には…」
"時間が無いから"
と小声で呟いたエイゼの声には誰も気付かない。
「…………俺は………少し、考えさせて下さい……」
そう言ってユーシスは一人部屋を出て行った。
―パタン
閉まる扉の音が虚しく部屋に響き渡る。
「…アイツも馬鹿だが真面目で誠実なヤツだからなぁ」
ジードは苦笑いを浮かべた。
「馬鹿で真面目…ですか。矛盾してるけどその通りですね」
カースはユーシスが出て行った扉を見つめた。
「…アイツには無理なんじゃねぇのか?」
ダンテは冷たい瞳でそう言った。その顔は不機嫌に歪んでいる。
「…私は彼でなければならないと思っているよ」
エイゼはそう言ってフィリアの前髪を上げた。
「さぁ、私達の天使様をゆっくり眠らせてあげよう…」
―チュッ
エイゼはフィリアの額に優しく口づけた。
「そうだな」
「…あぁ」
そう言ってエイゼに続き、フィリアの部屋から全員が出て行った。