-astral-星に捧ぐ少女
「…やっぱり君がフィリアさんを苦しめていた元凶か…まさか、城の使用人として紛れ込んでいたなんてね」
エイゼ様の言葉に、女性は感心したように笑う。
「…へぇ…まさか神瞳のアストラルの力がそこまでとはね…。いったいあなたにはどこまでの先の世界と過去の世界を見る事が出来るのでしょうね…」
含んだような笑みを浮かべる女性をエイゼ様は訝しげに見る。
「…君はまるで先の未来と過去を知っているように話すんだね」
エイゼ様がそう答えると、女性は笑う。
「似通った力のアストラルは星の数だけあるのよ。あなたのアストラル程では無いけれど、私の仲間にもあなたと同じ未来を見る力を持った人間がいるわ」
そう言った女性の表情が一瞬暗くなったように見えた。
「…少し話し過ぎたようね。私はあなたに構ってる暇なんて無いの、戦う力の無いあなたには用無しよ」
女性はパチンッと指を鳴らす。
すると…
―ガッシャーンッ
「!!!!?」
天井を突き破り、何かが落下して来た。
エイゼ様は間一髪で避け、砂埃の中に佇む生き物を見つめた。
黒い影は決して人のモノでは無いのが分かる。