-astral-星に捧ぐ少女
灰と炎と記憶
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「…はぁっ…はぁっ…」
灼熱の炎の中、焼け崩れた建物を横目に9つばかりの幼い俺は走っていた。
「どうしてっ…こんな事になるんだよっ…」
溢れる涙も炎の熱風によって乾いていく。
俺がいた小さくて力の持たない国のリニア村は民間主体の国家を造ろうとするクロード教団側と、家柄や名声のある貴族主体の国家を造ろうとするアデリア教団側での国内戦争に巻き込まれていた。
優勢であるクロード教団側に追い詰められながらついに最南端、アデリア教団の治めるリニア村がクロード教団に攻め入られたのだ。
リニア村の村人は貧困に苦しめられながらも強く生きていた。
なのに………
「俺達が何をしたんだよ!!」
ただ生きている事すら許されないのかと悔しくて涙が溢れる。
―ドカーンッ!!!
けたたましい爆発音が
辺りに鳴り響く。
そして強い風が吹き荒れる。
「うあぁっ!!!」
―ドサッ
風に吹き飛ばされ、体が地面に強くぶつかる。
「くそっ…もう駄目なのか…?」
『………諦めるのか…?』
―声が聞こえた。
美しく透き通る声…
「誰…だよ……」
荒れ果てた村を見渡し、俺は体を起こす。