-astral-星に捧ぐ少女
―ガチャン
「!!!」
「フィリア・ガーラント…か…?」
突然部屋に入ってきた人物を私は呆然と見上げた。
巫女服を纏う美しい女性…翡翠色の髪と瞳を持つその人は私を見下ろす。
この方は一体………
「わらわはユラ。ここでは時の巫女と呼ばれておる」
時の…巫女……
「わらわは触れた者に流れる時間を見る事が出来る。そなたの時も見た事があるぞ」
「私の…時を……?」
私はこの人を知らない。
ましてや会った事なんて…
「そなたが生まれたその日。空には白銀のアストラルが輝いていた。その時、わらわは10になったばかりであったな…」
懐かしむようにユラさんは天を仰いだ。
「美しい白銀の髪は母親譲りか…フィリアよ」
「!」
ユラさんは愛おしむように私の髪に触れた。
「すまないのう…わらわはおぬしを傷つけとうない。おぬしの時を見てから、わらわはおぬしを外の世界へ出すのは酷だと思うたのだ…」
その悲痛な声に私の胸は締め付けられる。
この人も私をこの塔へと繋いだ張本人…
なのにどうして……
憎めないのでしょうか…