-astral-星に捧ぐ少女
「酷…とは…兄を失う事ですか?それとも大切な人達や…この世界が滅ぶ事…ですか…?」
私はエイゼ様に見せてもらった未来を告げる。
ユラさんは心底驚いたように瞳を見開いた。
「おぬし…何故……」
そこまで言って何かに気付いたのか、納得したように頷いた。
「おぬしの時を知る者がもう一人おったな。エイゼ・クロード、わらわ以上の力をもつもの…おぬしに先の世を告げたのもそ奴であろう?」
何もかもお見通しなのですね…
「わらわと同じ…先を見知る者…その者は自らの力をどう思っておるのかのう…」
寂しげに呟いたユラさんに私は首を傾げる。
「それは…ユラさんが1番知っているのではないのですか?」
時の巫女……
エイゼ様と同じ、過去や未来を見る者…
感じるものもユラさんが1番分かるのではないのでしょうか…
私の言葉にユラさんは悲しげに笑う。
「…おぬしを救いたい…そう願う心は同じ…なのであろうな……」
だが…とユラさんは続ける。
「互いに最善と思う方法が違ったのだ。わらわはおぬしに外界との接触を絶つ事で、あ奴は人との繋がり、世界を愛する心でおぬしを守ろうとしたのだ」
私を守る………
「何故…ですか…?
私にはあなたや、エイゼ様が私を救おうとする理由が分かりません」
私が…特別なアストラルを持っているからですか?
私には力があっても世界を救う気も無いし、この力の扱い方も分からない…
「あなた方には何の特も利益も無いです」
「…そなたには感情というものが少し欠落しているように見える。否、わらわのせいであろうな……」
申し訳なさそうに言うユラさんは私の隣に腰を下ろした。