-astral-星に捧ぐ少女


「巫女様!!」


血相を変えて入って来たのはアイリスだった。


「アイリスか、どうしたのだ?」


シレッと答えるユラさんに、アイリスは困ったような呆れたような顔をした。


「巫女様、ここへは立入禁止であったはずです。早く外へ…」


「まーたアイリスの小言が始まりおった。帰って来たと思ったらすぐこれでのう、参った参った…」


…………アイリスとユラさんは仲がいいのですね…


以外な接点に驚いていると、ユラさんはニコッと私に笑いかける。


「アイリスはわらわのお付きでのう、幼少の頃から共におる姉妹のようなのだが…わらわより年若いくせにまるで姑のよう…」


「巫女様?」


アイリスは静かにユラさんを睨んだ。


「おっかないのう。仕方ない、わらわは行くとしよう。フィリア、わらわはおぬしの選択を尊重したい。先程の答えを聞きにもう一度訪ねるとしよう」


ユラさんは優雅に立ち上がり、スタスタと扉まで歩いて行く。


部屋を出る寸前でユラさんは足を止めた。


「おぬしをわらわは守ろう…約束は違えぬ。それまで…どうかおぬし自身を見失うな。心を閉じ込めず、素直になれば良い」


ユラさんは『ではな』と片手を上げ、アイリスを連れて部屋を出て行った。











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