-astral-星に捧ぐ少女


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「やっと来た…のか…」


ロードシア大陸を出て、ラシーズ島についたのは6日後の夜だった。


俺はカースとダンテと一緒に船から降りる。


「ラシーズ島までの船を手配するのが大変だったね」

そう言ってカースが苦笑いをした。


「ラシーズ島は鎖国してるからな。こんなちいせぇ島が鎖国出来てんのはこの島の長の力だろうな」


「そうか、ダンテは前にも忍び混んでるんだったよな。お前、この島出身じゃなかったんだな」


俺の問いにダンテは盛大なため息をつく。


「あいつの両親が同じ島の人間に依頼頼むわけねぇだろうが。俺はアデルシア帝国の出身だ」

「!!」

「!!」


俺とカースが同時に驚いた顔をする。


ダンテは苛立たしそうに頭をガシガシと掻いた。


「ダァーッ!!だからめんどうなんだよ、説明すんのは!!」


深緑の瞳がキッと俺とカースを睨みつける。


「俺はあの帝国とは縁を切ってんだよ、関係ねぇ、わかったか!!!?」


鬼の形相で怒鳴るダンテに俺とカースは黙って頷いた。


「…はは…お、おっかないね…」


「…あぁ……」


珍しくカースの笑みが凍りついている。


それにしても………
帝国といえば完全な軍事国家だ。


縁を切るなんて簡単に出来るのか…?


「ほら、ボサッとしてんな。着いたぞ」


ダンテの声で俺は顔を上げる。


そこには真っ赤な鳥居がいくつもあった。


「ラシーズ島についての文献は少ないけど、ここは神々の島…とも呼ばれているらしいね」


カースは鳥居を見つめながら言った。


神々の島………
確かに、この島に流れる空気や時は少し普通じゃない気がした。


「ハッ、馬鹿らしい。勝手に神とか名乗ってるイカレ集団の島の間違いだろうが」

「まぁそうだな、俺も神なんて信じない」


神なんかじゃなくて人がフィリアをさらったんだ。


「そうだね、神なんていないさ。そんなもの、いたら虫ずが走るよね」


カースの一言に俺とダンテは息を呑む。


…こえぇぇ!!!!


俺とダンテが以心伝心した瞬間だった。










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