-astral-星に捧ぐ少女
「…迷ってる場合か!!失ってからじゃ遅いんだ、迷わず殺せ!!」
ダンテが叫ぶ。
殺せ…?
かりにも友人を…?
演技だったとしても……
「殺せない……」
「…っ…何で……」
アイリスは傷ついたような、泣き出しそうな顔で俺を見つめる。
「アイリスは…友達だ…」
「ば…馬鹿じゃないの!!?」
アイリスは怒鳴った。
キッと鋭い瞳で俺を睨みつける。
「あなたがっ…もっと私を嫌ってくれたらっ……」
「アイリス、早くやれ」
ヨシヒラはアイリスを見下ろした。
アイリスは怯えたように固まる。
あぁ…そうか……
アイリスはこいつに逆らえないんだ。
何か…理由が……
「…アイリス」
"そうなんだろ"と尋ねようとすると、その前に誰かが口を開いた。
「…ぁ…巫女…さ…ま…?」
アイリスは驚いたように女性を見つめる。
「アイリス、止めるのだ。おぬしがわらわの為に何をしているのか、知らぬと思うたか?」
女性は凛としてアイリスを見つめ返す。
「わ、私はっ…」
「アイリス」
動揺するアイリスにヨシヒラは圧力をかける。
名前を呼んだそれだけでアイリスは屈服させられた。
「…いくら巫女様の願いと言えど、これだけは譲れません」
アイリスは強い意志を宿した瞳をしていた。
「心狂のアストラル!!」
アストラルがアストラルを発動させる。
すると……
『ああああああぁっ!!!』
氷の中で眠るフィリアが悲鳴を上げるその瞬間ー…