-astral-星に捧ぐ少女
「…ユーシス・コート。聖なる星を守る風よ…」
ユラは笑みを浮かべる。
「おぬしの風は温かい。きっとフィリアの心も溶かせよう…」
俺の風が………
…大切な誰かを守りたくて手にいれた力だ……
「わらわが時間を稼いでやろう。全てが終わったら、フィリアに尋ねてほしい事がある。」
ユラは俺の耳元でボソッと呟いた。
―答えは出たか?―
「…そう…言えばいいのか?」
意味が分からないな…
「フィリアなら分かる。わらわは…おぬしの意志を尊重すると…伝えてくれ」
「わかった…けど、伝えたい事があるならあなたから伝えたらいいんじゃないか?」
俺の問いにユラは悲しそうな顔で笑う。
なん…だ……?
嫌な予感がする……
ただの思い過ごしか…?
「さぁ行け…ユーシス」
「…あ、あぁ…」
その笑顔に圧されて俺は走り出す。
「…風よ…あの子を守って…」
だからユラがそう呟いたのを俺は知らない。